福島アトラスができるまで

福島が経験している放射能災害は、いわば「見えない災害」です。放射能が見えないだけではありません。規模も不確かで、どのように進むのかも見通しにくい災害です。福島アトラスは、この「見えない災害」を見えるようにする試みです。

キーワードは〈避難社会〉と〈環境世界〉。〈避難社会〉とは、いわば場所を失って避難する人々の動きです。しかし、それは生活や地域の再建にむけたあゆみへとつながっていく動きでもあります。いまなお福島の社会は〈避難社会〉として模索をつづけているのだということを忘れてはなりません。

〈環境世界〉とは、避難により社会を失った場所を、あらためて固有の「世界」として読み直す 視点です。ひとつひとつの集落には長い年月をかけてつくりあげられた人々の生存の仕組みが あり、見事な風景があります。それが、新しい生存の仕組みを描き出すための土台となり、仮説ともなるでしょう。

メイキングでは、とくに〈環境世界〉を私たちがどのように捉え、描き出しているかを見ていただきたいと思います。